3.ニューヨークの真珠展を見て
休暇を取ってアメリカに遊び、ワシントンとボルティモア、それにニューヨークを巡ってきました。ワシントンではスミソニアンの自然史博物館、ボルティモアではウォルターズ・アート・ギャラリー、そしてニューヨークでは自然史博物館にメトロポリタン美術館と、実際には仕事をしているのだかなんだかわからない旅でした。昨年のテロの影響も次第に薄れ、町は活気に溢れているように私には思えましたが、街頭にひるがえる星条旗の多さには異様なものを感じました。航空機のチェックインの厳しさも聞いていた通りで、私の友人は常備薬をぜんぶ調べられてその処方を書け、と迫られる始末でした。
以前この欄でもご紹介したアメリカ自然史博物館の真珠展は想像以上の内容でした。基本的な真珠のできる仕組みに加えて、自然史の博物館らしく貝の生態に多くのスペースを割いた構成でした。カリブ海のピンク貝やアメリカの川に生息する真珠貝の生態ビデオなど初めて目にするものも多く、あっというまに当初の予定時間を過ぎてしまったので私は別の日に再び訪れなくてはならなかったほどです。
当館の出品した「矢車」と「軍配扇」は日本の養殖真珠を紹介するケースに納められていましたが、それぞれがひとつの事例といった扱いでした。ただ、全体の資料の点数を考えればしかたのない位置かも知れません。
会場全体はやや暗く、キャプションを読み取るのに苦労するところもあり、これは改善の必要があると思いました。担当キュレーターの話ではニューヨークのあとシカゴのフィールド博物館に移動するときに照明方法を変更するということです。できればシカゴのほうも見てみたい気がしています。

マジソンアベニューにて