4.博物館で「学ぶ」
この春に上梓した『真珠の博物誌』はいくつかの雑誌や新聞にも取り上げられて、多少の話題を提供することができました。これもひとえに皆様のおかげと、館のページを使ってですが、お礼を申し上げます。まだ初版なので、もう一押しして年内に再版を目指したいところです、と勝手なことをいっている。
その最後のページで、修学旅行で館を訪れる小学生の話をしました。質問する小学生を相手に頭を悩ます私の経験談ですが、実は本文よりもこちらがおもしろかったという感想を聞くことが多く、ちょっと複雑な気分です。全体をああいうタッチで通せばもっとウケは良かったのか、などと反省したりもしています。
この春から学校が完全週5日制になり、「総合的な学習の時間」が取り入れられて、博物館と学校の接点がますます増えることになりそうです。その一方で従来型の修学旅行については、いろいろな行事との兼ね合いで縮小する方向にあると見る先生もいます。
それなら博物館のほうからいろんな資料を持って学校へ出向いていこうという、いわゆる出前授業を推進しようとする動きもあるようですが、博物館側からいえば、やはり館に来ていただきたい。それは入場人員が減少するなどという話ではなくて(いや、それはもちろん少しはありますが)、博物館という「場」を体験してほしいからです。膨大な資料や図書の集積と、それを扱う職員の、学校の先生とは違った雰囲気。子供はそこで博物館がどんなところなのかを本能的に感じとるはずです。
展示の見方やマナーなどを含めて、博物館を利用するための智恵を現場で学ぶ絶好の機会は、他の行事を犠牲にしてでも第一にお考えいただきたい、とあえてお願いしておきます。近頃は子供との対話も多少は上手になったつもりだし。

貝合わせイメージ