11.英国宝物コレクション
今年は真珠博物館が誕生してちょうど20年にあたります。開館したのは1985年9月のことで、当時の元号は昭和でした。世間が好景気に沸き立っていた頃です。
今年はまた、イギリスのエリザベス女王陛下フィリップ殿下が来島されてから30年目にあたる年でもあります。ご訪問は1975年 (昭和50年) のことで、私が入社した年でした。右も左もわからぬままに、女王陛下が海女作業観覧の際にお立ちになる桟橋の手すりに紅白の布テープを巻いた記憶があります。
このふたつの出来事を記念する周年行事としてこの春、博物館ではいくつかの特別企画を実施することにしました。そのひとつが英国の宝物コレクションの初公開です。もちろん英国宝物はこの世にひとつしかなく、イギリスはロンドン塔の博物館に収蔵されているので、私たちが持っているのはそのレプリカですが、そうはいっても王冠7点を含む全20点の宝物はなかなか見応えがあります。王冠は聖エドワードの冠をはじめとして戴冠式に使われるインペリアル・ステート・クラウン、ジョージⅤ世が戴冠したインド皇帝の王冠や、クイーン・マザーの王冠などがあります。なかでもインペリアル・ステート・クラウンはかのカリナンⅡ (317.4ct)を前面に輝かせた堂々たる姿です。全体は真鍮で表面はメッキ、真珠は模造でダイヤモンドなどの宝石はガラス、とこう聞けばなにやらチャチなもののような印象を持たれるかも知れませんが、実際にガラスとはいえ鋭い光を放ち、模造真珠さえも厚いコーティングで重量感がある、などというのは所有する側の欲目でしょうか。
実は当時、宝物類はひどい状態で博物館に到着しました。模造宝石はポロポロこぼれ落ち、真珠は連ごと外れ、王冠のフレームは歪み、螺子が緩んでいるといった有り様で、とてもそのまま見せられたものではなかったのです。幸い、国内で修理することができ、美しくはなったものの、なぜかいままで公開の機会がなく、収蔵庫の奥で暗い日々を送っていたというわけです。
このたび英国女王陛下来島を回顧するにあたって、同国の宝物を展示することになったのはまさに時宜を得た企画といってよいのでしょう。今年展示するために入手しましたなどと辻褄を合わせるつもりはありませんが、博物館の展示品の活用はそのくらいの長いスパンで考えなくてはいけないということでしょうか。
聖エドワードのクラウン
インペリアル・ステートクラウン










