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20.お木曳き始まる

 二十年に一度、伊勢の神宮は社殿を新しく建て替えます。次回は平成25年。第62回を数える式年遷宮は地元伊勢市にとっても大きな行事です。もちろん、お社の建て替えそれ自体は神宮の仕事ですが、その材料となる用材を運ぶのは地元住民の役割。これがお木曳きで、今年と来年の二年次にわたっておこなわれます。市内の各町ごとに奉曳団が組織され、それぞれが車を仕立てて総出で木を曳くことで、社殿の新築に奉仕させていただくわけですね。個人的なことですが、私も伊勢市に住まいして町内の団に名を連ねているので、5月に行われるお木曳きには参加する予定です。行事はなんでもそうですが、さまざまな約束事や相談事があって本番までにはなんどもリハーサルをおこなったり、打合せがあったりと、中心になって運営にあたる人々は忙しい日々を送っています。

 奉曳団の一行は木遣り子に踊り手、それに檜の用材を積んで上に屋台を乗せた奉曳車が続きます。この車の前に延ばした長い綱を持って曳くのが一般の団員の役割で、それぞれの団ごとに趣向を凝らした揃いの衣装を身にまとい、威勢の良い木遣りの声に合わせて車を進めてゆきます。これは宮川の土手から外宮まで街道を通って用材を運ぶ陸曳きで、内宮へは五十鈴川の川筋を遡る川曳きで運びます。

 実際の仕事内容を見ていると、この行事は木を曳くという特殊な技術を持った職能集団のまつりがベースになっていることがわかってきます。動力装置のない時代に太くて重い材木を運ぶということがいかに難しい技術を要求される仕事であったかは想像に難くありません。明治時代には四十二本もの木を積み上げて曳いた記録があるので、その技術は只事ではなかったようです。木を切り倒し、筏に組んで流し、綱で縛ってそりで運ぶという優れた技を持った集団が、自分たちの技能を誇らしく披露する絶好の機会がお木曳きだったといえるでしょう。また、そのことによって神宮を中心とした地元の賑わいが生まれ、経済が活性化し、豊かな暮らしが約束されるのであれば、一生懸命に励むのはしごく当然のことでした。木を扱う専門の職能集団に花を添える踊り手、つまり芸能者たちが加わった様子は、古代というよりもむしろ絵巻に見る中世の職人、網野善彦先生のいう「道々の輩」の姿と重なるように思えます。

 江戸時代を通じて、宇治と山田を中心とした今の伊勢市一帯の賑わいと繁栄は神宮があればこそでしたから、人々は高い崇敬の念を持っていました。安政の生まれだった御木本幸吉もことあるたびに「大神宮さんのおかげ」と口にしたといいます。そこで、お木曳きの年を記念して、今年は御木本幸吉が神宮に対して寄せた篤い思いを伝えるさまざまなエピソードを集めてご紹介することにしました。地元の方だけでなく、全国からお木曳き行事に参加するためにこの地を訪れる一日神領民の皆様にもご覧いただきたい展示です。特別企画「お伊勢さんと真珠王」は御木本幸吉記念館で4月21日からスタートします。

伊勢神宮内宮にある宇治橋を渡る幸吉

伊勢神宮内宮にある
宇治橋を渡る幸吉

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