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21.展示の説明

 時々展示室でお客様の声に聞き耳を立てて、ご意見を戴くことがあります。先日はカメオのケースの前で、「メノウ」って何だ? というお声を耳にしました。説明文の素材のところには確かにそうある。ジュエリーに馴染みのある来館者ならメノウに説明は不要でしょう。あるいはなにも専門的な鉱物の知識はなくとも、このカメオの素材は石だ、と理解する方々もいるはずです。ですが、そもそも「メノウ」という言葉が初めての方にどう説明すれば良いのか。

 実は前にもこれと同じ質問を受けたことがあって、それは社内での新人研修で同じようにカメオの説明をしたときでした。一瞬、メノウを知らないの? と思いましたが、気を取り直して収蔵庫からメノウの標本を取り出して見せました。それは縞メノウをスライス状にした標本で縞模様がはっきり出ています。この黒い部分を背景にして白い部分を人の顔にして、と説明すると、それでようやく理解したようでした。つまり、展示室でもこれと同じように現物を見せればわかるというわけです。

 誰しも畑違いの博物館へゆけば、大なり小なり、これと同じような経験をすることはあるはずです。あるいは一人で飲み込んでしまっているのかも知れませんが、すべての説明を理解するということは、まずあり得ない。

 そういえば、以前、ジュエリーの技法について、展示の説明でやたらにカタカナを並べていた時期がありました。カンティーユにルポゼ、フィリグリーといった金細工技法やシャンルーヴェ、クロワゾネ、ロンドボス、プリカジュールなどのエナメル技法名。簡単なテキストを作って配付したので、逆に一部の来館者には好評でしたが、迷惑に思われた方々も多かったことと反省しています。とはいえ、フィリグリーを直訳して「縒り線細工」といっても解決にはならないので、いっそ、針金でも使って模型を作り、工程とともに展示するなら、おおよその理解は得られるでしょう。だが、それではジュエリーそのものの理解というより、技法の説明になってしまう。

博物館では標本や模型など、さまざまなメディアを使うことができるので、逆に言葉をあまり大切にしない傾向があるのかもしれません。たとえばフィリグリーなら、出来るかぎり言葉で説明する努力をしてみる、それはつまり、そのことに対して当の本人がどれだけ理解しているかを試すことです。「細い金線をねじり、立体的な表情をつける技法」というような説明でどれだけの事がわかってもらえるか。「立体的」か「陰影のある」が良いか。それを全体の文章のなかでどのウェイトで使うか。長さの制約の中で、展示説明は結構神経を使って書いているのですが。

展示室の様子

展示室の様子



メノウを使用したアンティークジュエリー

メノウを使用した
アンティークジュエリー

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