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25.シードパールと[ケシ]真珠

 現在、博物館ではシードパールを使ったジュエリーの特集展示をおこなっています。これは1ミリ前後の小さな真珠のことで、日本では「ケシ」真珠のほうが通りが良いかもしれません。

 ケシにはふたつの字があります。ひとつは「罌粟」という難しい字で、音では「オウゾク」と読みます。ヒナゲシなどの美しいケシの花はこちらの字を使い、もう一方はカラシ菜の種を指す「芥子」です。いずれにしても種が小粒なので、微小なものを指していうときに使われることはご承知の通りです。

 日本では古く11~12世紀の『今昔物語』にこの比喩表現(この場合はカラシ菜の種の方でしょう)が見られるので、古くから慣用的に使われてきたと思われます。また、文様の分野にも「芥子玉」があって、これは文字通り細かい玉を散らした豆絞りの一種です。では、いつから小粒の真珠をケシと呼ぶようになったのでしょうか。

 明治16年 (1883年) の第一回水産博覧会に三重県が出品した『三重県水産図解』は当時の三重県の水産の実情をつぶさに調査した貴重な記録です。中に真珠について触れた項目があり、大きさについては「或ハ芥子珠連玉珠ト唱ヘ肉中ニ含ムモノハ細小ナリ」と「ケシダマ」の表現が見られます。

 明治時代の動物学者で、真珠研究に貢献しながらも早世した西川藤吉の遺稿集『真珠』には「内蔵部の外套膜に生ずる袋真珠は正形なるも小なるを常とし、高価なるもの尠く、皆ケシダマ (Seed pearl) に属するものなりとす。」とあります。西川藤吉はティファニーの副社長をつとめていたクンツ博士とも交流があり、海外文献に通暁していたからでしょうか、ケシの語の後にこのような英文表記をして両者を結びつけています。これが最初なら、シードパールを「タネ真珠」などと無粋な直訳をしなかったことに対して、西川藤吉に感謝しなくてはなりません。

 ケシという言葉は今日では「KESHI」として国際的に使用されていますが、すでに江戸の終わりあるいは明治の初めに、真珠を扱う人々の間で微小の真珠・もちろん天然真珠・を「ケシダマ」として呼び習わしていたことがわかります。それらを日本人は薬の材料として利用していたのに、ヨーロッパでは装身具の材料として愛好されていた、というのも興味深い話です。ヨーロッパのシードパール・ジュエリーがこうして美しいかたちで残っているのを見ると、ケシを粉に挽いて薬にしてしまった当時の日本人に一言いいたい気分になりますね。

展示室の様子

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展示室の様子

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