43.鳥羽名作十景
開催中の企画展「鳥羽名作十景」は、近代文学に見る鳥羽の風景、と副題がついているように、鳥羽を舞台にした小説作品とその風景の様子をご紹介するものです。取り上げた作品は、江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』、『孤島の鬼』、三島由紀夫『潮騒』、山本周五郎『扇野』、石坂洋次郎『若い人』といったお馴染みのものに加えて、山口誓子、伊良子清白、梶井基次郎、それに、イアン・フレミングの007号シリーズから『二度死ぬ』、他に山村美紗、西村京太郎、内田康夫のご当地ミステリーも加わります。
展示ではこの島を訪れた作家のサインも合わせてご覧いただけます。なかでも貴重なのは昭和29年、映画「潮騒」のロケの際、真珠島に立ち寄った三島由紀夫と黛敏郎が残したものでしょう。山口瞳、高見順、源氏鶏太といった往年の作家、近年では荒俣宏氏、浅田次郎氏のものもあります。荒俣宏氏は雑誌「ブルータス」の取材で島を訪れ、その際に幸吉の収集したえびす像にいたく関心を示されました。古今の図像に造詣が深く、『えびす殺し』という短篇集までお持ちの氏のことですから、これはまさしくツボにはまったというところでしょう。この時の記事は『ビジネス裏極意』(マガジンハウス)に収められています。氏はその後何度も鳥羽に足を運ばれて、ついには真珠島と鳥羽水族館を舞台に『どうまん・せいまん奇談』という一冊を上梓されました。この作品は鳥羽の実在の人物名を使って書かれています。たとえば当時水族館の副館長だった中村元さんに鳥羽一番街の社長志多さん、三重大学の目崎教授、それに不肖私の名前もあります。怪人目崎教授に操られて犯罪の片棒を担ぐ、といった情けない役どころですが、フィクションとわかっていながら自分の名前を持つ人物が悪事に加担するのを読むのはなんとも奇妙な気分でした。
展示室で興味を持たれた方のために、二階レファレンスに閲覧用の図書を揃えています。また、展示作品のほかに鳥羽を舞台にした小説や紀行なども配架していますので、どうぞお立ちよりください。



展示風景










