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45.フォルツハイム美術館訪問

 いささか旧聞に属しますが、二月にドイツに行く機会があって、念願のフォルツハイム美術館を訪れました。ここは宝飾美術を専門とする、世界でも類を見ない美術館で、宝石愛好家でその名を知らぬものはないほどです。

 フォルツハイムはバーデン=ヴュルテンベルク州の州都であるシュトウットガルトから高速で30分ほどの距離にある地方都市で、ジュエリーと時計を基幹産業としています。この町は第二次大戦で連合軍の爆撃を受け、焦土と化した過去があります。目抜き通りの何ヶ所かに1945と書かれたパネルが立てられ、当時、すなわち爆撃直後の町の写真が掲示されているのに気付きました。戦争の悲惨を伝えるためか、それとも現在の復興を誇る意図なのでしょうか。後で知ったのですが、爆撃があったのがちょうど二月で、あるいはそのことを記憶するためのキャンペーンだったのかも知れません。

 この美術館はフォルツハイム市が管掌する、公立の館です。市の財政で宝石の美術館を運営することは相当困難が伴うように思えますが、市や州、宝飾業者、銀行それに一般の多くの支援があって可能になっているといいます。コレクションは宝飾業者がデザインの参考にするのに集めた資料、それに地元の工芸学校の収集品がもとになっていて、戦前から一般に公開されていました。戦争の激化とともに公開は中断、資料は疎開し、戦後、新たに開設された市立博物館の一部門として再び展示されます。ロイヒリンハウスと呼ばれたこの博物館は同地の考古学資料展示や図書館を併設するものだったため近年改装を受け、2002年になって新しく装身具の専門美術館として生まれ変わりました。

 やや大げさにいうと、ある文化領域を概観する博物館は、その仕事に携る人々の誇りの証であるように思えます。企業博物館はその結果生まれたものですが、個々の企業が持つ専門館とはまた違った、市民の意志が集められてできた、本当の意味での公共の博物館といえるでしょう。

 収蔵作品は古代ギリシャ・ローマから中世、ルネサンス、そして19~20世紀とすべての時代を網羅し、現代の作品にも多くを割いているのはジュエリーが町の基幹産業であることから納得できるところです。歴史的作品を納めた展示室は暗く、ケース内のファイバー照明に作品が浮かび上がるように展示されていて、ネックレスやペンダントは細いテグスで中空に固定する手法が取られています。

 美術館に目の肥えた旅行客の、日本を訪れる機会が以前にも増して多くなります。我が国も自国の装身具の歴史と現在ををきちんとした形で見せる場所をどこかに持たなくてはと、あらためて思い知らされました。

フォルツハイム美術館前に立つ筆者

フォルツハイム美術館前に立つ筆者



街頭に設置された写真パネル

街頭に設置された写真パネル



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