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55.「東“貝”道五十七次」展始まる

 特別企画展「東“貝”道五十七次」が始まりました。来年の春まで一年間のロングラン開催です。観光地にある博物館の見学は旅行計画のひとつとして組みこまれることが多いので、夏・秋のシーズン、それに新年のプランにも加えていただけるよう、異例の長さとしました。もとより作者の水田さんのご理解があればこそで、まず、お礼を申し上げたいと思います。前回、この東‘貝’道シリーズを展示したのは平成17年、五年前のことでした。そのときには作品もまだ制作途中で、47番目の関宿まで。その後制作は順調に進み、五十三次の終点京師(京都三条)が完成したのが平成19年の6月。それからも旅はさらに進んで、作者の住む枚方ともゆかりのある京街道へ向かうことになりました。これは三条の手前から南へ道を取り、伏見、淀、枚方、守口の四つの宿を経て大坂の京橋までの街道です。品川からの宿場は全部で五十七、それに基点の日本橋、三条大橋、そして京橋を加え、全点で六十点に及ぶ超大作となりました。終点の大坂京橋が完成したのが昨年の暮れのことで、今回が全点揃っての初公開ということになります。

 貝を素材に用いた日本の伝統工芸技法として、よく知られているものに螺鈿があります。螺鈿はアワビなどの美しく輝く貝殻を薄く磨いて模様を象り、木などの器物に埋め込んで加飾する技法で、出来あがりは平面になります。一方、水田さんが駆使するのは基本的に彫刻技法で、仕上がりは半立体です。このような浮彫りの作品はカメオと呼ばれて親しまれていますが、もともと技法自体を指していう用語です。水田さんの本来のお仕事はこの技法で帯留やブローチなどの装身具を製作することで、永年の修練で得た技を凝縮させたのが今回の一連の作品といえるでしょう。

 作品の細部を見ると、あくまでも美しく作らねばならない商品と異なり、絵画としての完成度を高めるための様々な工夫が凝らされていることに気付きます。もともと平面としてあらわされた浮世絵では、遠近の距離感を強調することで風景を立体的に見せていますが、半立体で同じような効果を出すにはどうすれば良いのか。水田さんは貝の持つ粘り強い特性を充分に生かして、素材をぎりぎりまで薄く研磨することで、実際の貝の厚さ以上に奥行きを出すことに成功しています。ひとの体の表現などにその手法が見られます。また、様々な色の貝を細かく砕いてふるいにかけ、大きさ別に揃えた粉末を使い分ける方法なども、実に効果的に遠近を表現しています。ほかに、商品の製作では使わない貝殻の外側の粗い面も、山肌や木の肌をあらわすのに利用されており、その工夫のひとつひとつに感心させられます。

 このようにひとつの画面で、貝を用いて多彩な技法を駆使した作品例は類がなく、ただ単に貝工芸というより、ひとつの分野として「貝絵」と呼んでみたい衝動にかられます。ガラスの裏から絵を描いた「ガラス絵」や木を組み合わせた「木画(もくが)」などがあるので、決して無理な話ではないと思うのですが。

 会場では今日もお客様の驚きの声が聞かれます。どうぞこの機会に真珠島をお訪ね下さい。

作者の水田氏(左)と

作者の水田氏(左)と



展示室の風景

展示室の風景



展示室の風景

展示室の風景

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