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56.山あいの道と海辺の道

 高速道路の一部無料化が実施されることになり、この地方では津から南の伊勢自動車道と紀勢道がその対象となりました。選ばれたほかのお仲間の路線と見比べるとちょっと複雑な気分になりますが、せいぜい利用いただいて伊勢方面に足をお運び下さるようお願いしておきます。困るのは無料区間が伊勢までということなのですね。高速に続いてそのまま伊勢から鳥羽まで走ろうと思うと、伊勢二見鳥羽ラインという区間を利用せねばならず、こちらは運営主体が異なるため別途料金が必要です。わずか200円で大変便利な道路なのですが、多少、抵抗があるのではと危惧しています。

 個人的には普段、急ぎの用でもない限りこの道を行くことはまれで、通称、朝熊道と呼ばれる県道37号線を鳥羽伊勢の往還に利用しています。道順をお教えしましょう。伊勢道の伊勢インターを越えて次の楠部出口で降り、右折して右手に田んぼの広がる風景を見ながら直進、T字路を左折して道成りに行くと、右側の近鉄線路と併行に道路が続きます。これが朝熊道で、そのまま山道を10分ほど走ると急な坂を一気に降り、直進して信号で鳥羽ラインと合流します。

 この道、実は「堂坂越え」という、江戸時代の古道に添って整備されたものです。その往来の様子は天保年間(1830年~)の旅日記にも記されていて、鳥羽を経て遠く志摩一円と伊勢の宇治をつなぐ幹線ルートとして多くの旅人で賑わいました。

 もう一度、高速道路に戻ります。楠部の次の出口は朝熊ですが、降りた交差点を右折すると先の朝熊道へ続きます。左折すればサンアリーナ入り口を経由して二見への道です。もともと伊勢の中心部から二見へは河崎を経由する二見街道が整備されていて、夫婦岩見物の客で江戸時代から盛んに利用されていました。ところがそこから先の鳥羽へは道がなく、海岸伝いに岩場を歩くか、あるいは船を雇って海上を行くかのいずれかの方法しかありませんでした。二見鳥羽間の街道が開通したのは意外にも遅く、明治20年のことです。さらに明治44年には参宮線が伊勢から二見を経て鳥羽まで開通し、伊勢から鳥羽へは二見を経由するルートが主流となりました。

 つまり、現在の朝熊道が江戸時代の道であり、二見からの鳥羽街道は近代の道ということになります。二見の夫婦岩に近い音無山には現在通行しているトンネルの海側にもう一本、小さなトンネルがありますが、これは交通量の増加に対応し切れなくなって役目を終えた歴史的遺物というべき旧道で、一見の価値はあります。音無山の、トンネル抜ければ海が見えるあたりは昭和の観光地のなかなか良い風情を保っているように思えます。

 豊かな自然の残る江戸時代の山あいの道を選ぶか、昭和の風情が楽しめる海辺の道か、それともそのまま有料道路で快適に鳥羽を目指すか、いずれにしても遠来のドライバーの皆さんにとっては用心しつつ走るのが何よりでしょう。特に朝熊道は道幅こそあるものの、結構、カーブや起伏も多く、ゆっくり走るに越したことはありません。この季節は両側に繁る木々の緑が美しく、合歓の花が見頃を迎えますが、くれぐれも安全運転で、鳥羽へのドライブをお楽しみください。

朝熊出口

朝熊出口



左:二見、右:朝熊道

左:二見、右:朝熊道



合歓の木が花をつける頃

合歓の木が花をつける頃

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