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60.タイ・ピン小史

 博物館収蔵品のなかで今まで展示の機会がなかった資料はいくつもあって、紳士用のジュエリーなどもそのひとつといえます。

 紳士用装身具といって思い浮かべるのはネクタイ留め、あるいはシャツの袖口を留めるカフスボタンといったところでしょうか。現在、ネクタイ留めには針で刺して留めるタイ・タックと、ネクタイを挟むタイ・ホルダーがあって、ホルダーはバネの付いたタイ・クリップと、横から差し込むだけのタイ・バーに分かれます。いずれもネクタイが揺れ動かないように装着する、実用的な役割を持った装身具です。通常、これらは総称してタイ・ピンの名で呼ばれます。が、実はこの呼び方にはちょっと問題が。

 ネクタイ回りの装身具の出自を探ると19世紀に遡ります。それまで首の周りに巻く布はクラバット、ネッククロス、ネッカチーフなどさまざまな名前で呼ばれていたのを、1830年代に大型のものをスカーフ、小型のものをネクタイというようになりました。この頃はスカーフもネクタイも、文字通り首の廻りに巻きつける布であって、結び目に長い針を刺し込んで解けないように留めていたのですが、その針の頭の部分には様々な装飾が施され、これらをスティック・ピンと呼びます。この場合、刺し込んだ針の先端を受ける金具は使われないので危ないような気もしますが、とにかくそういうものでした。御木本真珠店の初期のカタログはこのようなピンを「スカーフ・ピン」として紹介しています。いずれにしても長い針を持つゆえにスティック・ピンもしくはタイ・ピンの名があります。

 その後、ネクタイは現在のような細長い形状に変化し、芯を入れることによって簡単に解けることはなくなり、長い針で留める必要はなくなりました。それでもタイ・ピンは装飾として、結び目の下辺りに装着するのが約束でした。この頃の紳士はシャツの上にベストを着用していたので,狭いVゾーンの中心として真珠や色石、あるいは彫金細工で様々な主題を工夫して趣味を競ったようです。その後ベストが廃れ、次第に上着の下がすぐシャツというふうに変化してきました。この格好で仕事中に上着を脱ぐとネクタイが所在なげに揺れて邪魔になる。そこで短い針をネクタイに通して裏側のキャッチで受け、そこから細い鎖でシャツのボタンに固定する式のタイ・タックが登場しました。ネクタイが針の穴で傷むのを嫌う向きには、横から差し込むバー状のホルダーが発明され、いわゆる「ネクタイ留め」として使われるようになります。冬は暖房の効いたオフィスで上着を脱いで、夏は腕まくりをしながらもネクタイだけはきちんとしていた昭和30~40年代のサラリーマンの必須アイテムとして定着したというわけです。

 ネクタイをしない風潮が広まった今日でもタイ・ピン(タイ・タックも)はジャケットの襟の飾りに使われますし、ピン・バッジなどと共にコレクターがいるようです。もし、ネクタイをする時は結び目のすぐ下にタイ・タックを付けてみると効果的です。この場合には真珠一粒のものがベストです。

 博物館では、明治以降の紳士用装身具を集めた小特集を開催中です。ぜひ足をお運び下さい。

長い針の付いたスティックピン

長い針の付いたスティックピン



明治時代のカタログ

明治時代のカタログ



使用例

<使用例>
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