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66.馬車を見つけた

 日の暮れが早くなった。朝夕はめっきり涼しくなって、ついこの間まで暑さにあえいでいたことが嘘のようです。この間といえば9月末、台風17号の通過の際には大潮、満潮、気圧の低下と三拍子揃って、この地方はかつてないほどの高潮に見舞われ、鳥羽市内は水浸し。真珠島も冠水し、後始末で一日休業せざるを得ない事態に追い込まれました。幸い資料に被害はなかったが、剣呑なことです。
 さて、先日、思いがけず歴史的遺物に遭遇。といってもそれはずっとその場所に置かれていたので、知る人ぞ知る、という代物だったと思われます。その場所とは鳥羽市の隣、二見町の公民館。それとは二見の町を昭和50年頃まで走っていた馬車。公民館横の、かろうじて雨を避ける位置に置かれたその遺物は、傷みは激しいものの一応原型を留めており、思わず声を上げてしまったほどです。
どのような事情でこの場所に置かれているのか詳らかではないのですが、保存するべき価値を認めていればこそ、ここに留め置かれたはずで、まずそのことに感謝しなければいけません。
この馬車の営業主体は二見浦観光馬車で、昭和五二年までJR(当時の国鉄)二見駅から夫婦岩までの旅館街を運行していたと記録にあります。ただし、写真として残っている馬車は異なる形状をしており、こちらのものは更に古い形式のように思われます。
 当地の交通に詳しい我が師匠のN氏にこのことを伝えると、知らなかった、と驚き、その翌日、さっそく現地を訪れて実見、写真撮影に臨んだフットワークの軽さはテツの鏡というべきでしょう。
実は数年前、N氏の協力を得て博物館の企画展として伊勢志摩の懐かしい乗り物を特集したことがあり、二見の観光馬車も取り上げていました。まさか、現物が残っていようとは想像もできず、古い写真を中心とした構成だったのですが、おそらくその頃からここにあったはずで、調査の不十分だったことが今更ながら悔やまれます。
 さて、馬車本体は乗用車の後ろ部分を残して、前部に木造で御者の席を取り付けた構造を取っています。曇ってしまった窓ガラス越しに覗くと客室は向かい合わせのコンパートメントで、おそらく6人乗り。御者席とは横長のガラス窓で仕切られます。
塗装はそうとう褪色しているものの、ボディ側面と後部に当地の名物御福餅の文字が大きく記されているのがわかります。二見に本店を構える同店がスポンサーだったということでしょうか。問題は元の車体が何かということですが、幸い左側のタイヤが残っており、ホイールキャップにNASHの文字が確認できました。ナッシュはアメリカのメーカーですが、形式の特定などは専門博物館の領域なので調査をお願いしたいところです。
いずれにしてもここまで状態を維持できたのは奇跡的で、ぜひレストアの上、往時の交通ならびに観光の様子を伝える貴重な物件として保存、活用していただきたいと願っています。あるいはそういう意図で置かれているのなら余計なお世話なのですが。

写真  1.二見浦観光馬車 2.前面 3.側面 4.後方  
                  〈提供はいずれも中野本一氏〉

 

  1.二見浦観光馬車

 



      2.前面

 

       3.側面

 

       4.後方

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