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72.ティアラ

 夏休みの恒例イヴェントとなったティアラの着用体験ブースは、連日おおぜいのお客様で大賑わいです。口元に笑みをうかべる方も神妙な面持ちで臨まれる方も、それぞれ日常にはないひと時を楽しまれて、ギャラリーのお客様ともども、あたりは晴れやかな雰囲気に包まれます。
 今回、使用しているティアラは真珠95個にダイヤモンド102個を配したハートとリボンモティーフのデザインで、ひときわ優しい印象です。さらにこの夏はMIKIMOTOが桂由美と共同で企画したウェディングドレスも展示していますので、お見逃しなく。こちらは島内パールショップでの展示です。
 それにしてもティアラはジュエリーのなかでも華やかさという点で別格ですね。その起源は遠く古代エジプトまで遡りますが、多くの名品が作られるようになったのは古代ギリシャ以降です。もともと、ギリシャでは神々に敬意を表し、恩寵を願う際、それぞれの神と結びついた植物の輪飾りを冠することが必要とされていたといいます。たとえば天界の主ゼウスに祈りを捧げるには樫の葉で出来た飾り、収穫の神デメテエルに捧げるなら麦の穂、酒宴の神デュオニュソスは葡萄と蔦といった具合です。ティアラのデザインに多く植物文様が使われ、その着用が神の恩寵、すなわち栄誉の象徴と見なされるのはこうした考え方があったからです。スポーツ選手が勝利の時に月桂樹の飾りを頭上に頂くのも神の祝福の象徴でしょう。古代の名残というわけですね。
 18世紀になると宝石を多く用いたティアラはその人物の地位や財産などを示すもっとも分りやすい装身具として使われるようになります。自分の重要さを知らせるのに、なによりも効果的で一目瞭然。その最も顕著な例はナポレオンで、古代ローマにかぶれたこの皇帝は頭上の王冠こそが権威の象徴であると考え、そのパフォーマンスを実践、国威高揚を演出するのに王宮の女性たちは公式行事にティアラの着用を義務付けられました。ティアラをつければ王族に変身するという、その様子はダヴィッドの描く「ナポレオンの戴冠」に見られる通りです。
 ティアラは時代によって流行と衰退を繰り返してきましたが、近年では結婚式に使われる装身具として定着しています。それも着用するのは花嫁だけなので、ドレスと同じように生涯一度限りの機会です。参列者も着ければ華やかになっていいと思うのですが、とにかくその他に日常的にはほとんど使う機会がないのが普通で、自分で所有する人は―皇族方以外は―極めて少数と想像します。そもそも受注生産で値段だって半端ではない、いわばジュエリーのF1といったところでしょうか。それゆえにこれからも憧れの装身具としての地位は揺るがず、このイヴェントの人気は当分続くものと思われます。夏休みいっぱいの開催です。ぜひお立ち寄りください。

  

イヴェント会場の様子

    

    

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