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73.大庄屋かどや界隈

 鳥羽街道沿いの藤之郷に広い邸宅を構える廣野藤右衛門家は「角屋(かどや)」と呼ばれた大庄屋。江戸後期からは薬販売をもって生業とし、鳥羽一番の金満家として近郷では知らぬ者のない名家でした。平成16年に住宅は廣野家から鳥羽市に寄贈され、三年越しの修復工事の結果、本年「鳥羽大庄屋かどや」として開館、公開されています。
 実は整備される前、鳥羽市の人材育成講座「地球塾」の会場として何度か利用したことがあり、失礼ながら、その傷み具合に胸蓋がれる思いだったのを思い出します。教育委員会をはじめとして多くの心ある方々の献身的な活動の結果、相当な費用をかけて改修実現に漕ぎ着けた鳥羽市の努力には頭が下がる思いです。
 入り口で靴を脱いで上ると薬箪笥のある店の間で、その先には緑滴る中庭の風景が眼に入ります。左に取ると正面には色ガラスや文様ガラスで飾られた廊下が続き、手前の座敷に腰を下ろしてしばしお庭を眺めましょう。ふすまに張られた国学者足代弘訓の書を見るのも宜しい。座敷を出て右手方面はこれまで閉鎖されていたゾーンで、中庭を臨んでテーブルと椅子が置かれ、気持ちの良い空間になっています。コーヒーかお茶を所望するといただくことができます。料金は明示されていませんが、テーブルの上には銀色の貯金箱が置かれてあるので、しかるべき額を投入しましょう。見学は無料なので、ここはぜひドネーションをお願いしておきます。
 この椅子席は実に快適で、気に入った本を持ち込めば何時間でもいられそうですが、独り占めするのも気が引ける。古い民具でいっぱいの隣の台所や二階座敷、外蔵、内蔵なども見て廻りましょう。常駐しているボランティアガイドさんにお願いすれば解説付きで案内してくれます。受付横の小さいショップで、入場料の代わりに何かお土産を選ぶのも良いですね。
 御木本幸吉は若い頃「鳥羽で三番目の金持ちになりたい」と目標を定めて、商売に精を出したといわれています。その目指すところは具体的にはこのお屋敷ではなかったか。朝も早いうちから青物の行商に出ていた幸吉の眼には、廣野邸こそがいつかは実現させる夢として映ったことでしょう。幸吉は事業に成功して後、様々なかたちで地元への貢献を続けますが、その手本は鳥羽を援助し続けた藤右衛門の生き方に違いありません。郷土の繁栄を支える人物になることこそ、幸吉の「男子の本懐」だったのです。
 そんなことを考えながら廣野邸で時間を過ごした後は、表の街道から山側の世古を通り、西念寺に向かう。浄土宗の古刹で、広い境内と優雅な曲線を見せる本堂の甍は一見の価値があります。さらに境内から左の露地を抜け、奥谷を散策。ここは鳥羽藩の武家屋敷だったところで、今でも落ち着いた雰囲気が漂う。川べりに干天でも涸れることはないと伝わる「弘法水」の湧き出し口があり、人びとの日常が垣間見えます。
 川沿いに鳥羽街道へ出た右側にあるのが魚屋「魚秀」です。小さな店構えですが、ここの味醂干しは絶妙の味わい。カマス、アジ、タチウオなど、潮風と太陽の光で醸した季節の干物をぜひご賞味あれ。以上、観光ガイドに出ていない鳥羽の案内でした。

  かどやパンフレットから転載

    

    

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