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76. 幸吉と馬

 安政五年午年の生まれだったせいか、御木本幸吉は若い頃から馬に深い興味を抱いていました。伝記によれば、絵画では馬の画を喜び、彫刻では馬の置物を愛し、曲芸では曲馬を好み、自分でも馬の真似が得意だったとか。
 とはいえ、馬の、たとえば彫刻を好んで集めたとは伝わっていません。思うに、馬という動物自体が好きだったので、犬好きが犬のぬいぐるみを好むわけではないのと同じことなのでしょう。実際、馬に関する知識も豊富で、外国の馬に比べて日本の馬が貧弱なのを嘆き、農商務大臣にその改良を提言したというほどで、もし真珠養殖を志すことがなければ、あるいは牧場主として成功したかもしれません。
 御木本幸吉記念館にコロンブス博覧会の出品者一同から贈られた馬の置物が飾られています。明治二十六年、シカゴで開催されたこの博覧会に日本政府は積極的態度で臨み、民間業者に出品を奨励したのですが、結果は不調で多くの品物は売れ残り、捨値の処分を余儀なくされます。幸吉は出品者の一人として、商品の回収に国庫の補助を求めることを考え、同志を募って請願運動を開始、その翌年、政府から十万円の補助金を受けることができて事態は無事に収束しました。
 この功績に報いるため、出品者たちから贈られたのが鋳造の馬の置物でした。たまたま明治二十七年の干支が甲午(平成二十六年と同じ)だったためでしょうが、馬好きの幸吉はことのほか喜んだに違いありません。
 その馬好きが知れ渡った晩年の昭和二十四年、九十二歳の誕生日に、御木本真珠店の東京店に勤める人々から贈られたのが馬の矢立です。幸吉のコレクションは恵比寿像と矢立で、前者は海の神様というのがその理由、矢立は筆と墨壷が一体となった携帯用筆記具ですが、幸吉はこれを「商人の魂だ」といって、いくつも手もとに置いていました。
 馬の矢立には様々な馬の姿が百体、線彫りでぜんたいにあらわされています。これは安藤薩雄という彫金家の手によるもので、躍動感あふれる表現です。
 ほかに日用品として使用していた湯呑みも馬の絵柄で、こういうところに稚気あふれる飾らない人柄が感じられます。強面の大社長が自宅では可愛いキャラクターのマグカップを使っているようなものでしょうか。
 様々な馬の姿を描いた、いわゆる「百馬図」の小冊子も残っています。これは五七景からなり、六九頭の馬が躍動する様子を水墨で描いたものです。軽妙な筆遣いから手馴れた画家の手によるものと思われますが、落款にある作者名(小藤東鴻)の詳細は不明です。
 これらの資料は御木本幸吉記念館で御覧いただけます。また、博物館エントランスでは幸吉が集めた「恵比寿・大黒」も展示していますので、初春の福にあやかっていただくと宜しいかと存じます。弥栄、弥栄。

 

 

 

 

 

 

 

馬の置物

コロンブス博覧会の出品者一同から贈られた馬の置物

 

 

馬の矢立

店員から誕生日に贈られた馬の絵が線彫りされた矢立

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

    

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