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82. アワビ

 ウナギ、シジミに続いてアワビです。
 この前アワビを食べたのはいつだっただろう。今年はとうとうお目にかかれず漁期は過ぎた。昨年夏の終りに愛媛県の端の方で、茹でたのを丸かじりしたのが直近。
 伊勢志摩ではアワビの漁が終わると伊勢エビが始まり、ちょうど季節の裏表になる。アワビは伊勢エビと並んでハレの食材だから、そう頻繁に口にすることはなくとも、せめて年に一度くらいは味わいたい。
 そのアワビ稚貝の放流が先日、志摩で行われました。海女さんの集まる「海女サミット」で5000個の稚貝が志摩市大王町の磯の岩場に放たれた。ところが回収率、つまり、海女さんが手にするほどに成長するアワビは僅か数パーセントほどらしい。
 アワビは海女さんの一番の獲物です。そのサミットには10府県から140人。済州島から3人の海女さんが参加しましたが、全国で最盛期には2万人いた海女さんは10年前の調査で2000人に減少し、今回は4年前に比べて212人少ない761人。それも獲物となるアワビが減少しているからで、そもそも生活が成り立たないから仕事は細ってしまう。
 放流したアワビが生き延びられないのは、それを狙う天敵がいるからですが、それ以外に餌の問題がある。アワビは海草を食べて育ちます。伊勢志摩ではアラメがその代表。ところが温暖化でアラメの育つ場所が少なくなった。それではアワビは生きられない。
 ところで、境一郎『一個52万円のアワビ文化』という本によれば、寒い地方のアワビは昆布を餌にしている。北海道や三陸のアワビは昆布食。その昆布は寒い海にしか生息しないと思っていたら、温かい海でも生育が可能で、栽培技術の進歩により鹿児島、長崎、愛媛で養殖に成功したと書いています。ある集まりでこの話をしたら怪訝な顔をされてしまったので、どうも大方には認知されていないようですが、温かい海で育つ昆布が出来るなら移植して、昆布の森を海底に広げ、アワビを育てる。イメージとしては放牧といって良いかもしれません。その管理は海女さんが行う。アワビの育つ様子を見守り、時期を決めて採取し計画的に出荷する。これなら不漁はないし、海女さんたちの経済も安定する。とにかく採取一方では資源は減少するばかりです。
 これは夢物語だろうか。だが、御木本幸吉が最初、アコヤガイを育てて、真珠を作るなどといった時に、まともに相手する人はいませんでした。今のような養殖籠も筏もないから、海底を整備、区画して貝を蒔いて育てた。貝を狙う蛸やヒトデ、それに繁茂する藻などの駆除が海女さんの仕事だった。アコヤガイはプランクトン食なので、餌の心配はありませんが、赤潮に悩まされた、それでも幸吉は貝を育てる仕事を続けました。
 アワビは身も貴重だが、真珠も取れます。かつては長崎県、宮城県でアワビ真珠養殖が行われていました。現在ではニュージーランドが産地として成果を上げています。殻に付いた半径真珠なので装身具としての利用は限られるけれど、貝殻は螺鈿の材料だし、江戸時代の百科事典には石決明(せきけつめい)として妙薬と記される。無駄がありません。
 海底のアワビ牧場が実現すれば、誰もが年に一個のアワビを食べることが可能となるかも知れない。海女さんも仕事が安定して、将来に希望がつなげます。夢物語に終わらせたくないですね。海草研究の発展が望まれます。


 

      アワビ真珠

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

    

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