知る 学ぶ 楽しむ
真珠王からのメッセージ 海女 パールミュージアムコレクション 入場料金 チケット情報 営業案内 アクセス 真珠島のパワースポット 島内マップ よくあるご質問 ホームに戻る

85. 「牡蠣」

  冬の味覚のひとつとして隠れもない牡蠣ですが、いっそう美味しくなるのはこれからの季節だという。その理由は牡蠣の餌となる海中のプランクトンが豊富になるからで、身の入りも充実してふっくらとジューシー。蛤や鳥貝に比べれば、財布にも優しい。
 近頃はパールロード沿いに焼き牡蠣食べ放題の店がいくつも出来て、それを目当てに伊勢志摩を訪れる人も多く、繁盛しているようです。もう30年以上前、仕事で志摩は的矢の牡蠣養殖場を訪ねた折に、岸壁で牡蠣をご馳走になったことがあった。ドラム缶で盛大に火をおこし、殻付のままを炙り焼きにする。寒風の中でいただく牡蠣は絶品で、こういう風に臨場感のある場所に食事場所を作れば如何と持ちかけたが、なにやら色々と規制があって出来ないという返事で残念に思った記憶があります。それが今では手軽に堪能できるわけで、まことに結構なことです。
 これも今を去る30年ほど昔、仕事で天草のある島を訪れた時、泊まった民宿の夕食で供された酢牡蠣も忘れがたい。養殖の牡蠣を見慣れた目には粒が小さく、小指の先ほどしかないが、噛めば芳醇な磯の香りが一瞬にして広がる。同行した清水さんは、これは地牡蠣に違いないといい、おかみに聞くとその通りだった。ついでながら清水さんの住まいは鳥羽の答志島桃取というところで、そこは牡蠣の名産地です。濃厚な海の恵みをやや甘めの地酒で楽しみ、離島の夜は更けていった。
 翌日の朝食時。清水さんがなにやら汚れたビニール袋をコートから取り出した。早朝、港近くの岸壁に行き、付いている牡蠣を取ってきたという。君が昨夜、あまり美味しそうに食べるものだから、もう少し楽しんでもらおうと思って取ってきた、僕はふだん、いくらでも機会があるので、といって生卵の入っている鉢を空けて、そこになみなみと注ぎ入れた。さあ、その牡蠣が美味しかったのか、それともそうでなかったのか、今となっては記憶がない。もしかするとその量に辟易したのかも知れません。
 今は収蔵してしまったが、博物館開館前に牡蠣の真珠を展示していたことがあった。これもたしか桃取の海域で採れた物件で、ブリスターあるいはブリスターパールというものです。この両者は見かけ上はどちらも貝殻に付着していますが、ブリスターは貝殻の内面が何らかの理由で隆起して半球状となったのに対して、ブリスターパールは貝の軟体部で形成された球体がしだいに場所を変えて貝殻内面と癒着して出来るので、別物として区別されている。牡蠣殻の内面は白っぽく真珠光沢もないから、出来た珠は美しい代物とは言いかねるが、その大きさと丸さで当時注目された覚えがあります。これほどでなくとも時に牡蠣から珠の出ることはあるのでご注意下さい。
 さて、最近凝っている牡蠣カレーについて。牡蠣の剥き身一人前10個を目安として用意します。軽く水洗いしてごみを除き、土鍋に入れて加熱。牡蠣から水分が出て、身が膨らんだら取り出し、牡蠣のエキスが残る土鍋のほうにバター、カレー粉(S&Bの赤缶。間違っても固形のカレールーなど用いないこと)適量、水溶き小麦粉、それに牛乳を入れ、とろみの出るまで煮詰め、塩、コショウで味を調える。頃合を見て、取り置いてあった牡蠣を土鍋に戻し、熱が回ったところで、炊き立てのご飯を皿によそってその上にかけ回し、食べるのである。この間、約20分としたところでしょうか。
 なんとも簡単な調理で恐れ入りますが、牡蠣の旨みが味わえる一皿となります。この料理は畠山重篤さんの『牡蠣礼賛』という本で教わった。牡蠣に対する知識と愛情あふれる好著で、一読をお勧めしておきます。
 では、今夜は牡蠣に粉を叩いて、オリーブ油で焼いて食べるとしますか。牡蠣料理は手をかけすぎないのが良いようです。


 

貝殻に付着したカキのブリスターパール

カキの真珠(各種)

※常設展示はしていませんが、博物館係員にお申し出くだされば、ご覧いただけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

    

バックナンバー一覧に戻る
page top
  • 御木本幸吉記念館
  • 真珠博物館
  • 館長のページ