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87. ハマグリ

  アワビ、シジミ、カキと続いてハマグリに至るのは、これは自然の成り行きというべきだろう。おりしも風薫る好季。ハマグリを食するには持って来いの時候である。
 というわけで、桑名を訪れた。同地の赤須賀漁港は県下有数の良港だが、その港湾の一角に「はまぐりプラザ」という施設がある。ここは公民館機能、漁協の事務所と展示施設、それに食堂を備えた複合施設で、護岸のすぐ内側にあり、駐車場は岸壁の外側に完備している。ちょうど正午に現地到着。入口には、食事の希望者は二階の食堂で受付をすませるべし、と注意書きがある。すでに予約待ちが長蛇の列をなし、もしかして我々のところで売り切れ仕舞になったらどうしようなどと危惧したが、幸いにも待つことなく席に案内された。
 二階の食堂「はまかぜ」はいい具合に力の抜けた、浜茶屋といった雰囲気。年配のご夫婦と相席になり、挨拶を交わして待つこと暫し。お二人は地元にお住まいの由だが、この季節になると必ずここを訪れる、なにより安く、桑名産のハマグリが食べられるからで、とおっしゃる。地元の方が来るところだ。間違いはない。
 注文の「赤須賀定食」が到着。アルミホイルに包まれたハマグリが5個、ハマグリのフライと海苔を巻いた磯辺揚げ、マカロニサラダ、それにシジミの味噌汁と御飯、時雨佃煮と沢庵の入った小皿がセットで1500円。テーブルの小型ガスコンロにハマグリを並べて待つ。ホイルの大きさから察するに、中のハマグリはさほど大きいものではないようだ。5~6センチほどか。隣席の夫人はそれを見透かしたかのように、これくらいの大きさがちょうど食べごろと教えてくれる。
 アルミホイルで貝を包む方法は先日、「ヨルタモリ」で知った。その晩のゲストが「バー・ホワイトレインボウ」に持ち込んだハマグリを七輪の火で焼くのに、吉原さん(だったか?当日は)がこの方法を伝授したのである。大体、加熱した側から貝柱が外れるので、直火で炙れば肝心の貝の身は上側の貝殻に付いて開き、その結果、浸みだした美味しい貝のエキスをガスコンロ上に溢れさせることになってしまう。ホイルで包めば、熱は貝全体に回り、底にエキスも確保できて悲惨な事態は回避できる。優れた智慧といえよう。
 フライも磯辺揚げも美味いが、何より焼きハマグリだ。甘味を引き立てる仄かな塩味と苦味、さっぱりと上品な、それでいて深い滋味はやはりこの貝の持ち味というべきだろう。ふっくらと、艶めかしい身の歯ざわりもこの時期のハマグリならでは。勝手なものですな。先日までカキの肩を持っていたくせに。
 貝殻の外側は光沢を帯びた美しい黒色で、これも地元産の特徴と教えていただいた。身の中から何か出てこないかという仕事上の期待を起させないほどに、ひたすら味覚に集中したことだった。ハマグリの真珠というのも珍しいもののひとつで、当館の標本に一点を数えるだけ。貝殻内面は純白なので、きれいなかたちのものが出てくれば、宝物として珍重したくなるに違いない。真珠の魅力はその色や輝きよりも、まず、整った丸いかたちのものが現れる不思議にあるのではないか。ハマグリを味わいながらそんなことを考えた。


 

ハマグリの真珠

ハマグリの真珠(真珠博物館展示)

 

 

 

 

    

    

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