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93. クラウン展

 クラウン(王冠)は王がその地位を表すものとして着用する環状の頭飾りです。
日常とはかけ離れた晴れやかな場に君臨する、まさに装身具の頂点といえるでしょう。頂点は英語でサミットといい、おお、まるで主要国首脳会議開催に合わせたような展覧会ではないかと人はいうかも知れぬ(この企画は昨年の早い時期から温めていたので、偶然の一致ですが)。
 さて、世界で名高いクラウンのコレクションといえば誰しも英国王室のそれを挙げるに違いない。もう30年も前、初めてイギリスに渡ったときには、お上りさんよろしくロンドン塔の宝物館へ見に行ったものです。その頃は特段、クラウンに興味があったわけでもなく、仕事上の半ば義務のような気分で、漱石ではないが、その宝物の展示を含めたロンドン塔に漂う陰鬱な空気に心が暗くなったような記憶がある。展示室の番人からは、そこの日本人は立ち止まらずにさっさと歩けと急かされて、印象は好ましからず、ジュエリーの勉強はしてもこういう権威の象徴のようなものは遠ざけたいと考えた。
 ところが1989年、真珠博物館でイギリス王室の宝物コレクションを入手することになる。学芸員だった当時、先代の館長がなぜこのような代物の購入に意欲的なのか、ちょっと理解し難かった。だって模造品ではないか。金額はいわぬが、同じ金を使うなら、ルネ・ラリックの名品を買えば良いのにと思ったものであった。
 おまけに到着した宝物類の予想以上にひどいコンディションには眼を疑った。事前に知らされてはいたものの、はめ込まれた宝石の多くが外れ、全体にゆがんでいるものもあり、とても展示できる状態ではない。修理をするといっても、なにしろ、真鍮と模造宝石でできているから、関連会社のミキモト装身具にお願いするには恐れ多い。方々探してようやく大阪に模造宝石を専門に扱うところを発見し、依頼することにした。修理費用はほとんど購入金額に等しいほどであったが、半年後か、ともかく見られる状態にまでは復元できた。それが1990年のこと。ところが当時は企画展示室というべき場所がなく、20点ものコレクションを一度に展示は不可能。常設展示とも相いれず、ようやく全部が日の目をみたのは2005年、購入から16年後の企画展だった。
 その展覧会はエリザベス女王陛下の真珠島ご訪問20年を記念するのが主眼で、宝物はイギリスの文化という括りのなかのひとつとして位置付けた。今回は出品から除外する職杖や刀剣なども含めて20点すべてを展示して、いちおうお披露目は済ませたという気分になったものでした。それからすでに十年を閲している。
 さて、今回、この企画のために入手した中に’’Crown Jewellry’という図書があり、そこにレプリカのクラウンについて書かれたページを発見。それによれば過去、いくつかの英国王冠のレプリカが作られた模様だが、その詳細は不明、だが、コレクターの間では垂涎の的で、それは過去のオークションの実例を見ればわかる、と著者はいい、我が館が求めたときの話を紹介していたのにはちょっと驚いた。さすがに当方の名前は伏せてあったが、オークション会社提供の写真も掲載されている。他には女王陛下の戴冠式の予行演習のために作られたものもあったというから、レプリカと侮れず、何といっても実物は英国より外に出ない宝物なので、雰囲気を味わうにはこの方法より他はない。先代館長の慧眼に敬意を表するとともに、そのおかげで今回の展覧会が実施できることを感謝しなければなりません。
 展覧会は4月23日(土)から開催です。ご期待下さい。


 

聖エドワードのクラウン(レプリカ)

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