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117. 辞典 NEW!!

 津山洋学資料館の訪問で下山元館長から教示された『冬の鷹』を読了。解体新書成立を巡る前野良沢と杉田玄白の苦闘と確執を描いた吉村昭の名作で、一気に読ませてくれた。それにしても暗中模索の状態からオランダ語を習得していった先人の執念と情熱には驚く他ない。背景は田沼時代から寛政の改革という変動の時期で、やがて幕末に向かうなかで様々な人物が登場し、干渉しあう様も興味深い。なかでも後半で登場する大槻玄沢の活躍と人柄は魅力的。
 そこで話は変わります。通勤時、車のなかでラジオを聞いている。もっぱらNHKの第一で、朝の時間は帯番組。この春からパーソナリティに異動があって、月曜日の担当がサンキュータツオになった。氏の著書『ヘンな論文』は以前、金曜日の「源ちゃんのゲンダイ国語」で紹介されたのを機に早速一読、その面白さに抱腹絶倒した覚えがある。この度はパーソナリティ就任を記念して、文庫本の『国語辞典の遊び方』を求めた。こちらも才気煥発、得る所の多い書物で、早速おすすめの『ベネッセ表現読解国語辞典』を手に入れて楽しんでいる。重要語とか表現チャートといった囲み記事があって、たとえば「ロゴス」や「修辞」といった言葉を様々な例を引いて説明してくれる。これで2,800円(+税)というのはお得。
 この上はやはり、日本最初の国語辞典である『言海』を見ておくべきだろうと思い、ちくま学芸文庫版を入手。明治37年の復刻で字が小さく、読むのに苦労するが、この著者大槻文彦が大槻玄沢の孫で、ここで『冬の鷹』と結びついた。この大槻文彦の生涯を描いたのが高田宏の『言葉の海へ』で、こちらも「日本の古本屋」で探して求め、只今半分ほどまで読んだところ。玄沢の子すなわち大槻文彦の父親で漢学者だった大槻磐渓が知り合って間もない頼山陽の原稿を批判したことなど、興味深い逸話が多数。しかし、こうやって読む本が繋がってゆくのは、なんとも嬉しいものです。
 ついでにいえば、ラジオ番組で得られる情報は時おりマニアックなものがある。先日、この番組で紹介された曲の歌声とユニゾンのピアノが大変印象的だったが、タイトルを聞きそびれた。しかし、そこはネットの威力、検索すればたちどころにタチアナ・パーハとヴァルダン・オヴセピアンのデュオとわかる。ブラジルの歌姫とアルメニアのピアニストだ。新しいジャズの動きはこうなっているのか。さっそくアルバムを購入する。
 さて、その『言海』で「真珠」はどう記述されているだろう。「あこやがいより出づる珠の名、銀色に光り、略 透明(すきとお)りて、瑪瑙の如し、形、正しく円し、青みあるを上品なりとす、質、甚だ堅くして、砕けば層層相重なること酢答(せきふん)の如し、内、外、色同じ、形色に種類多し 薬用とし、又、飾とす。たま、しらたま、あこやのたま、珠 あるいは蚫、蛤、などよりも出づ」(原文カタカナ)とある。
 真珠、あるいはアコヤガイに関する記述は江戸期を通じて多くの本草書などに見えており、酢答(さっとうとも。馬などの腹中に形成される異物)を断面が層状になっていることの例として出したのもいずれかの引用と思われる。真珠の用法の第一に薬用を挙げているところはこの時代の通念といえる。最初の国語辞典の記述として押さえておきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『言海』と『ベネッセ表現読解国語辞典』。『言海』は文庫本としてみれば厚いが、辞書とすればこんなもの。

 

 

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